林研究室
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FUTURE SESSION
フューチャーセッションとは
フューチャーセッションとは、
従来の枠組みでは解決できない複雑な問題を、
さまざまな人達による従来の組織とは異なる関係性を使って(多様性)
対話を通じて理解し、欲しい未来を共有し(対話)
それに向かっての行動宣言をして(未来志向)
協調アクションを生み出すことで解決していく
セッションのことです。
フューチャーセッションは、
個人個人は自分の思い通りに行動できるように、
でも、全体も良い方向に大きく変わるように、
合理的にかつ効率的に協調アクションを生むための方法論のひとつです。
従来の会議のような、判断したり、結論を求めたりといったニーズを手放すところがミソ。
会議で何かを決めても、結局みんなは決まったとおりにはなかなか動かないもの。
だったら、目指すべき未来だけはしっかり共有して、各論・方法論は各自の裁量に任せ、とにかく何か動こうよという訳です。
いわば、総論賛成・各論自由。
各自は未来を見据えて行動するだけ、目指すのは協調アクションです。
では、どうやって総論賛成を実現するのでしょう?
フューチャーセッションでは、メタ目的化という手法によって「総論賛成」を創ります。
メタ目的化とは、目的をメタ(meta:高次元)認知すること、より高い視点から見た目的に再認識することです。
つまり、問題をより高い次元の問題として捉え、誰もが自分事として関われる良質なテーマ(問い)に変換することで、総論賛成を創ります。
例えば、携帯電話で新製品開発の場面では、
「もっと売れるスマホを開発するにはどうすればいいのか?」
という問題をメタ目的化して、
「家族の絆を強める遠隔地コミニュケーション」
について考えます。
問題を「もっと売れるスマホ」でなく「家族の絆を強める遠隔地コミニュケーション」に置き換えた瞬間に、
自分事として考えてくれる仲間が増え、会社、業界、産業分野を超えた共感と互助意識が生まれます。
そして、そこから生まれるアイデアの中には、きっとスマホで実現できる価値ある素晴らしいアイデアもきっと含まれていることでしょう。
フューチャーセッションは未定義・発展途上
フューチャーセッションは、まだウィキペディアに掲載されていないほど、定まった定義はなされていません。
企業、政府、自治体などの組織が、
中長期的な課題の解決、オープンイノベーションによる創造を目指し、
様々な関係者を幅広く集め、
対話を通じて新たなアイデアや問題の解決手段を見つけ出し、
相互協力の下で実践するために設けられる施設をフューチャーセンターと呼び、
その中で行われるセッションをフューチャーセッションと呼ぶ
とされているだけです。
ですので、現時点での林の研究に基づいたフューチャーセッションの特徴と考え方は、
近い将来書き直される可能性もあるでしょう。
それ程に、新しく、精力的に研究・実践が行われているのが、フューチャーセッションです。
フューチャーセッションの研究と実践
フューチャーセッションの研究、開発、体系化、実践、普及については、
株式会社フューチャーセッションズの野村恭彦さんや、
慶応大学SDMの前野隆司先生などが先駆者ですが、
林も、遅ればせながら、研究テーマの一つとして、フューチャーセッションに取り組んでいます。
研究の詳細や実践内容は、林が代表を務める、フューチャー・セッションを通じた地域活動のためのイノベーション創出を研究する任意団体、
SILLAFSのホームページ
でご紹介しています。
宜しければそちらをご覧ください。
フューチャーセッションの研究と実践(最新知見)
新しい会議方法としてのフューチャーセッションの研究を続けています。
最近、かなり研究がまとまってきたので、この辺りで少しその成果をアウトプットしておきたいと思います。
研究の背景
現代社会における従来型(課題解決型、提案承認型)の意思決定は、ステークホルダの多様化とそれに伴う利害対立・総論賛成各論反対の風潮から、機能不全を起こし始めている。
従来型の意思決定方法がうまくいかない本質的な原因は、原発問題や都市計画問題にみられるように、課題自体が、二元論(善/悪・良い/悪い・YES/NO)で語れない性質のものになってきているからである。
すなわち、人間の欲求が高次化し、万人が同意・共感できる低次の欲求の解決ではなく、主義主張や好みといった高次の欲求の解決が求められるようになったのである。
そのような状況下では、従来型(課題解決型、提案承認型、ディベート型)の会議運営は困難・非効率であり、それに代替する方法論が求められる状況にある。
代替法の最有力候補「フューチャーセッション」
そこで、フューチャーセッションの出番である。
フューチャーセッションとは、欧州において発展したフューチャーセンターと呼ばれる半官半民の活動拠点で行われていた社会問題を検討する会議の形態を日本に導入したもので、ワークショップでしばしば行われるシステム思考・デザイン思考・発散・収束といった技術的要素に、対話を通じた肯定的な関係性構築の要素を加えた、互助意識の醸成やアイデア創発、行動誘発に有効な方法論である。(野村、2012)
企業時代にこの方法に触れ、従来型(課題解決型、提案承認型、ディベート型)の会議運営とは全く異なる方法論と考え方に大きな感銘を受けた。
このフューチャーセッションを科学的・体系的に理解し、有効活用できる環境を整えれば、二元論で語れない性質の課題に対して、新たな解決方法を提供できるため、停滞する地域の産業・経済・自治体運営に大きな貢献ができると考えられる。
従って、フューチャーセッションを実際に社会の様々な場面で活用しながら、セッションを科学的に分析し、体系化(定義・構築等)し、誰もが簡単に活用できるようにしたいと考え、研究を行っている。
イワシのリーダーシップとシステムデザインマネジメント
イワシのリーダーシップとは、従来のリーダーを擁するリーダーシップの限界(総論賛成各論反対やルサンチマンに陥りやすい)を補う、いわばリーダーを擁さない(要さない)リーダーシップのことである。
イワシは見事に統率されているかに見える群行動をとるが、実際にはリーダーは不在であり、Alignment (整列:仲間と一緒に動きたい)、Cohesion(結合:仲間に近づきたい)、Separation(分離:仲間とぶつかりたくない)といった3つの単純なルールで群行動が再現できることが知られている(Raynolds、1987)。
すなわち、「一緒に動く」「仲間に近づく」「ぶつからない」という行動ルールを自然な形で人間社会の中に取り込むことで、一人一人が抵抗勢力になったりルサンチマンに陥ることなく自律行動し、結果として美しい協調行動が起こる状態(共創的意思決定)をつくり出すことができるリーダーシップを「イワシのリーダーシップ」と呼称するが、このイワシのリーダーシップをフューチャーセッションに当てはめて考えると、フューチャーセッションの体系的理解が非常に容易になった。
また、複数の構成要素が相互作用する集合体(システム)が、望む結果を効率良く実現できるように、 集合体の構成や行動プロセスを企画・設計(デザイン)し、それを実践・運用(マネジメント)する、システムデザインマネジメントの考え方や方法論も、フューチャーセッションの体系的理解を非常に助けることがわかった。
システム思考やデザイン思考、多様性の活用といった共創のための理論と方法論は、イワシのリーダーシップの理論体系そのものであり、フューチャーセションの方法論と極めて親和性が高いことがわかった。
現在までの結論
そこで、現在までの知見をまとめて、1枚の図にしてみた。
ご意見、ご指導を頂ければ大変有難い。
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