岡山の中小企業のブランド化のためのデータサイエンス データサイエンスは、経営論の中でも近年とみに重要度を増してきている分野です。データサイエンスと言うと、なにか凄いテクノロジーにように聞こえるかもしれませんが、扱うデータの量が非常に多い「ビッグデータ」の解析も、高度な「多変量解析やシミュレーション」も、最先端の「AI(人工知能)」も、数学的には「確率論」と「最適化手法」の派生理論であり、「入手可能なデータからいかに正しく現状を理解し、未知・未来を推測するか」という統計学に他なりません。何も「ビッグデータ」「多変量解析やシミュレーション」「AI(人工知能)」等に依らなくても、一般的な統計学を上手く使えば、懸案の「ブランド化」もサクサクと進めることが出来るかもしれません。 ブランド化のキーワードは「違いおわかり」 ブランド化を語る前に、ブランドとは何かを定義しておく必要があります。ブランドとは、一言で言えば、消費者が商品・サービスを選択する際の有力な手がかりのことです。ブランドは、もともとは誰が育てた牛かを識別するための「焼き印」が語源で、日本的に言えば「のれん」に相当するような概念です。「商品・サービスが他とは違うこと、信頼できる品質であることを保証する記号」といっても良いでしょう。即ち、ブランド化とは、商品・サービスが他とは違うこと(差別化)、信頼できる品質であること(品質保証)を広く世間一般に認知させ、購買意欲を喚起する行為(プロモーション)ということができます。 そんなブランド化の極意を、マーケティングの先達は一つの覚えやすい言葉で伝承してくれています。「違いおわかり」がその言葉です。違い=差別化、お=驚き、わか=わかりやすい、り=お客さまの利益 を表しています。つまり、
4つの問いにきちんと答える情報を得る方法が市場調査 前述の4つの問いにきちんと答える情報を得る最も簡単で信頼出来る方法が「お客さまに聞く」こと、つまり市場調査です。市場調査で4つの問いを適切な形で投げかけ、その反応をデータ化することで、情報が出来上がります。そしてその情報が、企業内の意思決定やお客さまへのプロモーションに使われます。(実は、「誰がお客さまなのか」を規定することが経営論としては非常に重要なポイントなのですが、その点は他稿に譲ります。) 市場調査は難しくない
市場調査は、その目的に応じてコンセプト調査、ニーズ調査、イメージ調査、ネーミング調査、デザイン調査、実使用調査、価格弾力性調査など多種多様であり、扱うデータの種類によって定量調査、定性調査、データの入手方法によって郵送調査、電話調査、インターネット調査、現地調査、調査の形式によって、アンケート調査、インタビュー調査、観察調査と、一見複雑で初心者には理解が難しい業務のように見えます。しかし、重要な事は「知りたい事は前述の4つの問いに対する答えである」「お客さまからできるだけ正確に、かつ簡単に答えを引き出す」の2つだけと考えれば、さほど難しくありません。また、一般的には、100名程度にアンケート調査を行えば、±10%程度の誤差で認知度や受容度を推定することができますし、検定を行えば、統計的に評価の判定を下すこともできます。 中小企業では、調査に大きなコストをかけることは難しいでしょうが、「知りたい事は前述の4つの問いに対する答えである」「お客さまからできるだけ正確に、かつ簡単に答えを引き出す」という2つを意識して、できる範囲で調査を行うことで、経営的に大きな力となります。例えば、勝率5割の勝負に3回連続で勝てる確率は0.5×0.5×0.5=0.125(12.5%)です。しかし、勝率6割になっただけで、0.6×0.6×0.6=0.216(21.6%)となり連勝率は2倍近くになるのです。冒頭、データサイエンスとは「入手可能なデータからいかに正しく現状を理解し、未知・未来を推測するか」という統計学と述べましたが、勝率5割なのか6割なのかが現状理解であり、3回の掛け算が未知・未来を推測することであると申し上げれば、おわかり頂けるのではないでしょうか。 「違いおわかり」と「データサイエンス」、是非ご活用頂ければ幸いです。
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